静岡のレンタルラボ完全ガイド|医療・農業・医工連携の3拠点と、坪1,200円台の公設ラボ
ファルマバレー(医療)、AOI-PARC(農業)、浜松の医工連携。静岡は目的別に拠点が分かれ、公設ラボの賃料は坪1,200円台と全国最安クラス。静岡大学の施設は使用料が無料。共益費の見落としまで含めて実額で比較します。
静岡は東部・西部で扱う分野がはっきり分かれる
静岡でラボを探すとき、まず決めるべきは分野です。県東部と県西部で、集まっている産業がまったく違うからです。
県東部は医療と農業です。駿東郡長泉町にファルマバレーセンター(医療健康産業)、沼津市にAOI-PARC(農業技術)があり、それぞれ県が拠点として整備しています。県西部の浜松は医工連携で、浜松医科大学、静岡大学、そして市の浜松イノベーションキューブが同じ市内に並びます。
そしてもう一つ、静岡県インキュベートセンターが沼津・富士・浜松都田の3か所に同じ枠組みで置かれています。分野を問わず入れるのはこの施設です。
静岡の最大の特徴は賃料です。公設施設の㎡単価は250〜400円台で、坪に直すと1,200円前後。全国のレンタルラボと比べても最も安い部類に入ります。ただし共益費の扱いに注意が要る施設があるので、後半で実額を出します。
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県東部:医療のファルマバレーと、農業のAOI-PARC
東部の2施設は、県が政策として作った拠点です。分野が合えば非常に安く借りられます。
静岡県医療健康産業研究開発センター(ファルマバレーセンター)
駿東郡長泉町にある医療健康産業の拠点です。研究開発室はラボ仕様56.95㎡が9室、オフィス仕様32.12㎡が2室。
賃料はラボ仕様が月20,700円、オフィス仕様が月10,900円。ラボの㎡単価は363円で、坪に直すと約1,200円です。ただし光熱費は含まれず、実費と共益費が別途かかります。
医療機器やヘルスケア関連の開発拠点として、県のファルマバレープロジェクトの中核に位置づけられている施設です。
静岡県農業技術産学官連携研究開発センター(AOI-PARC)
沼津市にある農業技術の研究開発拠点です。研究開発室(ラボタイプ)は50㎡程度。
ここは賃料の読み方に注意が必要です。使用料は月12,700円〜13,500円と表示されますが、共益費が概ね月30,000円からかかります。50㎡・使用料12,700円のケースで合計42,700円、㎡単価にすると854円です。使用料だけを見ると㎡254円ですが、実額はその3倍以上になります。
共益費は電気使用量等によって変わるため、実験機器の消費電力が大きい計画なら、その分を見込んでおきます。それでも農業技術に特化した設備環境が使える点を含めれば、割安な部類です。
県西部・浜松:医工連携の3施設が同じ市内に
浜松には性格の違う3施設があり、フェーズに応じて選べます。
静岡大学 インキュベーション施設(浜松キャンパス)——使用料が無料
実験室タイプ40㎡(ドラフトチャンバー6室)とオフィスタイプ21㎡があり、施設使用料は無料です。各室の水道光熱費と通信費だけが実費負担になります。
レンタルラボで使用料が無料という施設は全国的にもほとんどありません。ドラフトチャンバー付きの実験室が水道光熱費だけで使えるので、創業直後の固定費としては最小です。大学との関係づくりが前提になりますが、条件が合うなら最初に当たるべき施設です。
浜松医科大学 レンタルラボ(医工連携拠点棟)
賃料は1㎡あたり月1,000円(浜松医科大学発ベンチャー)または1,700円(それ以外の企業等)。1年度分を一括前払いする方式です。廃棄物の処理などは別途負担になります。
大学発ベンチャーとそれ以外で単価が1.7倍違うので、称号の取得を検討する価値があります。医工連携をテーマにした拠点棟なので、医療機器開発との相性がよい施設です。
浜松イノベーションキューブ(HI-Cube)
浜松市中央区にある市の施設で、実験室28室・研究室19室と規模が大きく、24.5〜63㎡の区画が中心です。間仕切りを撤去して100㎡超にすることもできます。
賃料は月86,240円(24.50㎡)から221,760円(63.00㎡)で、いずれも税抜。㎡単価は3,520円で、静岡県内では最も高い水準です。ただしウェット・ドライ・合成実験・オフィスまで対応範囲が広く、区画数も多いので、公設施設が埋まっているときの受け皿になります。
静岡県インキュベートセンター:3か所に同じ枠組みで
沼津・富士・浜松都田の3拠点に、同一の枠組みで設けられている県の施設です。工場仕様室・実験室仕様室が95㎡、研究室仕様室が70㎡という構成になっています。
賃料は研究室70㎡で月25,800円(浜松都田)、26,900円(富士)、27,800円(沼津)。㎡単価は369〜397円で、拠点による差はわずかです。分野の限定がなく、県内3か所から立地を選べるのがこの施設の使いどころです。
工場仕様室があるので、研究だけでなく試作・小規模生産に進む段階でも同じ枠組みの中で移れます。
賃料の全体像——公設は全国最安クラス
掲載データの公開賃料から㎡単価を出すと、次のようになります。共益費が別途かかる施設は、実額も併記しました。
| 施設 | ㎡単価(月) | 坪換算 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 静岡大学 インキュベーション施設(浜松) | 0円 | 0円 | 施設使用料無料。水道光熱費・通信費は実費 |
| ファルマバレーセンター オフィス仕様 | 339円 | 約1,120円 | 32.12㎡で月10,900円。光熱費・共益費別 |
| ファルマバレーセンター ラボ仕様 | 363円 | 約1,200円 | 56.95㎡で月20,700円。同上 |
| 静岡県インキュベートセンター(浜松都田) | 369円 | 約1,220円 | 研究室70㎡で月25,800円 |
| 静岡県インキュベートセンター(沼津) | 397円 | 約1,310円 | 研究室70㎡で月27,800円 |
| AOI-PARC(使用料のみ) | 254円 | 約840円 | 50㎡で月12,700円 |
| AOI-PARC(共益費込みの実額) | 約854円 | 約2,820円 | 使用料12,700円+共益費約30,000円 |
| 浜松医科大学(大学発ベンチャー) | 1,000円 | 約3,310円 | 1年度分一括前払い |
| 浜松医科大学(その他企業) | 1,700円 | 約5,620円 | 同上 |
| 浜松イノベーションキューブ(HI-Cube) | 3,520円 | 約11,640円 | 24.50㎡で月86,240円(税抜) |
AOI-PARCは使用料の表示だけを見ると県内最安ですが、共益費が概ね月30,000円からかかるため実額は3倍以上になります。共益費は電気使用量等で変動するので、消費電力の大きい機器を入れる計画なら事前確認が必要です。
「表示賃料」と「実額」を分けて見る
静岡の公設施設は表示賃料が極端に安いぶん、光熱費・共益費・実費負担の比重が相対的に大きくなります。ファルマバレーセンターも光熱費は含まれず実費と共益費が別。静岡大学は使用料そのものが無料なので、支払いは水道光熱費と通信費だけです。
月額の総支払いで比較したいなら、「共益費と光熱費を含めた実額」で比べてください。表示賃料の順位と実額の順位は入れ替わります。
目的から選ぶ
静岡は分野で拠点が決まる県です。以下の順で当たると早く進みます。
| 条件・目的 | 候補 | 理由 |
|---|---|---|
| 固定費を極限まで抑えたい | 静岡大学 インキュベーション施設 | 施設使用料が無料。ドラフトチャンバー付き実験室あり |
| 医療機器・ヘルスケア | ファルマバレーセンター | 県の医療健康産業拠点。ラボ56.95㎡で月20,700円 |
| 農業・食品の技術開発 | AOI-PARC | 農業技術の研究開発拠点。ただし共益費を含めた実額で判断 |
| 医工連携・大学と組む | 浜松医科大学 レンタルラボ | 大学発ベンチャーなら1,000円/㎡ |
| 分野を問わず県内で探す | 静岡県インキュベートセンター | 沼津・富士・浜松都田の3か所。研究室70㎡で月2.6万円前後 |
| 区画数と対応範囲で選ぶ | 浜松イノベーションキューブ | 実験室28室・研究室19室。合成実験にも対応 |
| 試作・小規模生産へ進む | 静岡県インキュベートセンター(工場仕様室95㎡) | 同じ枠組みの中で研究から製造へ移れる |
よくある質問
- Q本当に使用料が無料のラボがあるのですか?
- A静岡大学のインキュベーション施設(浜松キャンパス)は施設使用料が無料で、各室の水道光熱費と通信費のみ実費負担です。実験室タイプ40㎡にはドラフトチャンバーを備えた部屋が6室あります。入居には大学との関係づくりが前提になります。
- QAOI-PARCの月12,700円というのは本当ですか?
- A使用料の表示としては正しい数字ですが、共益費が概ね月30,000円からかかります。50㎡・使用料12,700円のケースで実額は42,700円、㎡単価854円です。共益費は電気使用量等で変わります。機器構成を添えてお問い合わせいただければ、見込みを確認します。
- Q静岡の公設ラボはなぜこれほど安いのですか?
- A県や市が産業政策として整備した施設で、収益目的ではないためです。そのぶん入居分野が限定されていたり、審査があったりします。ファルマバレーは医療健康産業、AOI-PARCは農業技術というように、拠点ごとにテーマが決まっています。
- Q浜松医科大学の1,000円/㎡は誰でも使えますか?
- A1,000円/㎡は浜松医科大学発ベンチャーの単価です。それ以外の企業等は1,700円/㎡になります。いずれも1年度分の一括前払いで、廃棄物の処理費などは別途負担です。
- Q静岡から東京・名古屋へのアクセスはどう考えるべきですか?
- A拠点が東部(沼津・長泉)と西部(浜松)に分かれているため、東京方面が多いなら東部、名古屋方面が多いなら西部が動きやすくなります。分野で拠点が決まる県なので、まず分野、次に移動という順で考えるのが現実的です。
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ラボ外観月額94,864円〜静岡大学浜松キャンパスに隣接する賃貸型インキュベーション施設。実験室28室(50㎡クラスまたは60㎡クラス)は給水管(バルブ止)・排水管(キャップ止)・都市ガス(1階外部一次側でプラグ止)を備え、専用部に給気・排気ダクト用スリーブがある。1階の実験室は天井高3.5m・耐床荷重1,500kg/㎡でエポキシ樹脂系塗床(耐薬品性)、2〜3階は天井高3.0m・700kg/㎡で長尺塩ビシート(耐薬品性)。研究室19室(25〜60㎡クラス)はフリーアクセスフロア+タイルカーペットで給排水設備はない。間仕切り壁を取り外して100㎡超の部屋にしたり、実験室と研究室を一体で使うこともできる。浜松市から賃料補助がある(要件あり)。
浜松イノベーションキューブ(HI-Cube)
詳細を見る →| 最寄駅 | 「浜松」駅 バス20分 |
|---|---|
| 運営 | 独立行政法人中小企業基盤整備機構 |
- 101(63㎡)63.0㎡要問合せ243,936円
- 102(63㎡)63.0㎡要問合せ243,936円
浜松医科大学が令和元年度に開所した医工連携拠点棟の実験室等を、大学と共同で研究を行う企業等および浜松医科大学発ベンチャーに貸し出すレンタルラボ。利用料金は1㎡あたり1か月で、浜松医科大学発ベンチャーが1,000円、それ以外の企業等が1,700円。利用期間は原則として1年度で更新が可能。利用料金は1年度分を一括前払いで、既納の利用料金は原則返還されない。レンタルラボ等の利用に伴う廃棄物等の保管および廃液等の費用、光熱水料は別途負担となる。室内に実験機器等を搬入する場合は、利用申請書と併せて機器等搬入申請書の提出が必要。
静岡大学イノベーション社会連携推進機構が、大学発ベンチャー企業の育成支援の一環として浜松キャンパスに用意しているインキュベーションルーム。浜松キャンパスに所属する教員の研究シーズの事業化や、研究シーズを活用した地域企業・学生による事業化準備を対象とする。施設タイプは実験室タイプ(40㎡)とオフィスタイプ(21㎡)の2種類で、実験室タイプは給排水・電気・空調に加えてドラフトチャンバーを6室に備える。オフィスタイプも給排水・電気・空調を備える。施設使用料は無料で、各室の水道光熱費・通信費のみ実費負担となる。利用期間は1年間で、毎年度の入居審査結果により最長3年間の継続利用が可能。学生が利用する場合は研究室担当教員が使用責任者になる。
静岡大学 インキュベーション施設(浜松キャンパス)
詳細を見る →| 最寄駅 | 「浜松」駅 徒歩20分 |
|---|---|
| 運営 | 静岡大学 イノベーション社会連携推進機構 |
- 実験室タイプ(40㎡・給排水/電気/空調/ドラフトチャンバー6室)40.0㎡要問合せ0円
- オフィスタイプ(21㎡・給排水/電気/空調)21.0㎡要問合せ0円
共同研究室(CNFラボ)賃料 要問合せ静岡県工業技術研究所富士工業技術支援センター内に令和元年5月24日に開設された静岡県CNF研究開発センターの企業向け研究拠点で、共同研究室3室からなる。セルロースナノファイバー(CNF)など微細化セルロースの製造装置・製造技術の開発や、複合材料の高度化・製品開発に取り組む企業が入居し、同センターと共同研究を行う。県内に主たる事務所または事業所を持ち、継続的に月5日以上使用する企業が対象。同じ施設内に静岡大学CNFサテライトオフィスがある。
静岡県が創業者育成のために沼津・富士・浜松市都田の3か所に整備したインキュベートセンター。室仕様は工場仕様室・実験室仕様室(各95㎡)と研究室仕様室(70㎡)の3種類。沼津インキュベートセンターの実験室仕様室には28㎡のクリーンルーム(P2レベル)が設置されており、給排水管引込・給気扇・天井換気扇(室内はゼロ圧)・ドラフトチャンバー設置用アルミパネル・耐薬品性塗床・緊急シャワーヘッドを備える。電気設備は単相100V・三相200Vで各室49kWまで受電可能(富士は44kWまで)、照明は600ルクス程度。給水は上水道、排水は公共下水道(浜松都田)または合併処理浄化槽(沼津・富士)、ガスは都市ガス(浜松都田・沼津)またはプロパンガス(富士)。使用料は月額25,800円(浜松都田の研究室仕様室70㎡)から55,600円(沼津の実験室仕様室95㎡)。施設の転貸は禁止で、毎年度県に事業報告書を提出する。
- 富士 研究室仕様室(70㎡・6室空き)70.0㎡募集中26,900円
- 浜松都田 研究室仕様室(70㎡・3室空き)70.0㎡募集中25,800円
静岡県のファルマバレープロジェクトの拠点として運営される研究開発センター。敷地約43,000㎡・延床約17,000㎡で、リーディング機関研究開発生産施設1棟(テルモ ME センター)、地域企業研究開発施設2棟(東海部品工業)、研究開発室23室、会議室10室からなる。ラボ仕様は1室56.95㎡、天井高2.8m、床は長尺塩ビシート(耐薬品性)、1階は土間コンクリート(重量により床を補強して使用可)、単相100V(200V取出可)と三相200V を1部屋あたり19KVA程度まで、流し台(給水管・配水管)付き、入退制限エリア。101・102・201・202号室にはドラフトチャンバー用の排気取付口がある。使用料は月額20,700円(オフィス仕様32.12㎡は10,900円)で、光熱費は含まず実費と共益費が別途必要。駐車場は月額2,000円/台。ラボマネージャーが常駐する。
| 最寄駅 | 「三島」駅 バス25分 |
|---|---|
| 運営 | 公益財団法人ふじのくに医療城下町推進機構 ファルマバレーセンター(静岡県の指定管理者) |
- ラボ仕様 1F(101・102号室/ドラフトチャンバー用排気取付口あり)57.0㎡募集中20,700円
- ラボ仕様 1F(103〜105号室/排気取付口なし・3室)57.0㎡募集中20,700円